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フィリピン州立病院について ~K.Sさんより寄稿~ 
2011.05.07.Sat / 18:28 
 今回、私は看護師をしているということで、病院を見学させてもらえることになりました。
ツアーでは、さまざまな経験をさせてもらいどれもこれも貴重な体験でしたが今回は病院見学について書きたいと思います。

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 私が見学させていただいたのは、病床数が100床という州立病院でした。訪ねると看護師長さんが笑顔で迎えてくれました。そして、病院中を周り紹介してくださいました。


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 私が行った西ネグロス州には150床の州立病院がもう一つあるそうです。そのほかに25床ほどの病院が十数か所ありますが、大きな病気をした場合はすべてこの二つの病院に運ばれてくるとのことでした。私が日本で住んでいた市は、人口約8,6万人に対し400床の公立病院が一つありましたから、比べると格段に病床数が少ないことが分かります。私が行かせていただいた時期は、乾季であり患者数が少ないとの事でしたが、それでも廊下にベットが並んでおり、そこに老若男女が寝て点滴治療などを受けていました。

 私は看護師になる時プライバシーを考えてケアすることを教え込まれ、実践でもそうしてきましたが、ここにはそのようなことは成立していませんでした。部屋は男女別に分かれているものの、廊下にはカーテンもなく、布団も十分にない中で男女関係なく寝かされていました。雨季には廊下だけで90人の患者さんが入院していたこともあったそうです。そのような状態になるのには、病床数が足りないことも意外にももう一つ理由が見えてきました。

 私立病院もあるのですが、そこにはある程度お金を持った方でないと入院費が払えないため入院できないそうです。よって、州立病院に患者さんが溢れてしまうようです。ソーシャルサービスをこちらの病院は行っているそうですが、たいていお金が払えない方の相談との事でした。私が働いていた病院ではソーシャルワーカーさんは金銭的な相談もしていましたが、大半が自宅では生活を続けられない患者さんの二次病院を探すことでした。このように金銭的問題はいたるところで見受けられます。でも、それを解決すべくサービスがあることに嬉しく思いました。

 師長さんに病院が受け入れる人数が決まっていないのか聞いてみると、一人でも多くの患者さんが救われることが大切であり、そのために来た患者さんはすべて受け入れているとの事でした。そのような状態でしたが、今後100床増床していく予定だそうです。これで、今後さらに落ち着いた入院生活を送れる人が増えるといいと思います。
一つのベットに数人乗っているのを沢山見かけたので聞いてみると、家族が付き添っているとの事でした。自分がいた病院では、あまり家族がずっと付き添っている風景は見たことがなく、家族がいて患者さんが寂しくないし安心できるし、ここにもフィリピンの家族を大切にする心があると感じ伝えました。すると、1フロアに看護師1人助産師1人しかいないので、家族にみてもらえるとの事でした。あらかじめ、家族にどのような状態になったら看護師を呼んで欲しいかなど伝えておくそうです。ナースコールも十分にない環境なので、確かに効果的です。それに、家族にとっても患者さんをみることは病識を得ることにもつながりよいことだと思いました。百聞は一見にしかずです。

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 少し病院からずれますが、ある家庭に訪ねた時、脳卒中で寝たきりになった患者さんがいらっしゃいました。経管栄養にオムツ、床ずれができないように体の向きをかえること、手足が固まらないようにリハビリしていること、週に何回か頭や体をきれいにすること・・・。どれもこれも日本と同じでした。失礼ながら、ここまでちゃんとケアが行き届いていることにびっくりしました。病院のハード面が日本と比べると充実していなかったので・・・。そして、意思疎通の取れないにもかかわらず、声を掛けスキンシップを図る姿を見て家族をとても大切にしているのだと感じ温かい気持ちになりました。

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 日本との違いはいたるところに見受けられ小さなことも入れたら語りつくせませんが、あと二つ紹介したいと思います。
 
日本では看護師は慢性的に不足しています。看護師のイメージってどんなものかなぁとネットで検索してみても、看護師は「すばらしい仕事だけれど命を預かる仕事は大変。向き不向きがある。」というような声が多く書かれています。では、フィリピンの看護師はどうかというと、フィリピンでは看護師になりたい方が多いようです。人のためにケアすることは素晴らしいこととされており、あこがれている人は多いようです。これもお国柄や宗教上のせいでしょうか。看護師が多いため、ボランティアや派遣で働いている人、海外へ行く人もいるそうです。日本でもフィリピンの看護師を受け入れています。この結果は、私にとっては意外なものでした。そのほかの国ではどうなのかも調べてみたいものです。


 最後に、日本との違いをもう一つ。それは、産科です。1日に生まれる赤ちゃんの人数は平均5-6人。私の見学した日には、午前中にもかかわらずすでに4人の妊婦さんが産む寸前で待機中でした。入院期間は通常の分娩なら産んでから24時間、帝王切開の方で5日だそうです。日本では病院によっても差がありますが、普通分娩で6日、帝王切開で10日位のところが多いようです。随分日本よりは短いですが、やはりベット数が足りないこと、入院している方が他の病気にかかるなどが理由だそうです。なので、母乳などについての教育は生まれる前にしておくそうです。私が住んでいた市では、産科医が不足し出産できる施設がなくなってしまいました。そのため隣の市に行かざるを得なくなり、その病院は一杯になっているという話を聞きました。生む場所がないなんて出生率が下がっている日本で不思議な話です。このように日本では産婦人科や小児科の地域格差が問題となっていますが、フィリピンではそのようなことはないそうです。どちらの国も出産に対してのベット数が足りないのは同じですが、その中身はかなり異なるなぁと感じました。

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 今回、病院見学をさせていただきここには書ききれないほど感じることはありました。そして、また、自分の働いている場所の現状をあまり深く知らないことを痛感させられました。私が知っているのは自分の働いている科のことぐらいでした。相手のことを知るにはまず自分を知ることが大切です。そして、このように感想を書いているとさらにあれもこれも聞けばよかったと質問したかったことがでてきました。
今回感じたことを何かの役に立てられればよいなと思います。


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